【河川基金からのお知らせ】

「水辺のごみ見っけ!」 -水辺のごみへの関心を高める活動-

2018/05/28 事例紹介

全国川ごみネットワーク(東京都) 事務局 伊藤 浩子 さん

【写真上】地域の中学生と取り組む川ごみ拾い(越後新川まちおこしの会主催)
【写真下】河口近くに集まった川ごみの様子(提供:NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム)
 

全国の川ごみ調査「水辺のごみ見っけ!」


 川ごみの問題は、多くの川で抱えています。私たちの身近な生活と密接に関わるごみが、川や海の生態系や環境への悪影響を及ぼしています。多くの河川でごみ拾いは行われていますが、ごみを拾うだけではこの問題は解決できません。
 そこで、川ごみ問題の解決に向けた情報交換や協働によって、川の環境を保全することを目的にネットワークを組んでいます。ひとつの河川では解決が困難なことでも、全国の多くの河川と手を組むことによって大きな力とし、川ごみ問題の根本解決を推進しようと活動しています。
 主な活動内容としては、「川ごみサミット」を開催し、川ごみ問題に関して様々なセクターで連携しその解決に向けた意見交換の場をつくることから始めています。また、2016年度からは、「全国水辺のごみ調査(水辺のごみ見っけ!)」を主催し、より多くの方が水辺のごみへの関心を高めることをすすめています。
 

子どもたちと川ごみ拾いから、全国水辺のごみ調査へ


 始まりは、荒川のレポートを書く機会があり、小学生だった子どもと一緒に荒川に出かけたり、いろいろなイベントに参加したことです。最初は参加者の一人としてごみ拾い活動に出かけましたが、せっかくなら自宅の近くの荒川河川敷のごみ拾いをしたいと思い、子どもの友達を誘って近所で河川敷清掃を始めました。それで、NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラムにお世話になるようになりました。その後は、スタッフとして荒川クリーンエイド・フォーラムに係わるなかで、ごみ拾い活動の普及、特にCSRに取り組む企業との連携をすすめてきました。多くの団体・多くの人たちが川に訪れ、安全に楽しくごみ拾いをして、爽快感・達成感を持って活動されるようサポートしました。
 長年継続して活動している場所では確実にごみは減るという実感は得ています。しかし、何年活動してもごみがあまり減らないことが気になるようになりました。そこで、ごみを根本から減らすことを考えないと、川ごみの問題は解決できないのではないか? いつまでもボランティアが拾っているだけでは解決できないのではないか? と、次第にごみ削減への意欲が高まりました。回収したごみの結果を企業の担当者さんに持っていっても、「荒川の問題」としてしか認識いただけなかったこともあり、荒川のごみを減らすためにも、全国的な課題として向き合いたいと考えたことが、全国でネットワークをはじめる動機となりました。
 

川ごみ問題は近くにある「全国」のそれぞれの問題


 全国に向けた活動をして良かったと思うことは、「全国」と名乗ることで、川ごみについて、説明や紹介をする機会をいただけるようになったことです。遠くにある「荒川」の問題ではなく、自分たちの近くにある「全国」のそれぞれの川での問題であることが認識されやすくなったことと思います。
 全国水辺のごみ調査では、これまで水辺で水質調査だけをしていた子どもたちのグループが、ごみ調査をすることでごみにも目を向け「お菓子の袋などが多かった」「草むらの下にごみが多かった」などの報告をいくつもいただいています。地道ではありますが、このように川のごみにも関心を持つ人が徐々に増えていることが良かったと感じます。
 

川ごみ問題の情報発信と川での活動団体との連携


 川や海のごみ問題は一般的にはまだあまり知られていません。川で活動されている団体さんですら、川ごみ問題の解決を諦められている方もあり、まだまだごみ問題解決に向けた啓発が十分でないことを感じます。
 また、海を漂うマイクロプラスチックは新たな環境問題として国際的に注目され、海外ではその対策もすすめられ始めています。しかし、日本ではその対策がほとんどすすんでいません。川はごみの通り道になっていて、川に入る前のごみ対策をすすめることが急務となっています。しかしまだ川や海のごみ問題の重大さは一部にしか知られていなくて、情報発信ができていないと感じています。
 川ごみの問題は、発生源を特定しづらく、流域全体の住民の生活にも深く関わっています。川ごみの根本解決をすすめるには、流域住民の生活習慣、ごみの排出、容器包装類の回収の仕組みの改善までが求められることで、関与する機関や制度が多様であり、すぐに解決するのは非常に困難なことです。したがって、なかなか成果を出しづらいことも苦労しています。
 ごみ問題で苦労されている川での活動団体さんや、ごみ問題に少しでも関心のある団体さんとの連携を深め、広く国民の関心を高めていきたいと思います。そして多くの団体や個人が共に声を発していくことで川ごみの削減に向けての大きな力になることと思っています。
 

今後の抱負


 川ごみ削減に向けた対策を検討するにとどまらずに、なんらかの行動を地域ぐるみや流域全体ですすめることに寄与したいと考えています。もちろん自分たちの団体だけでできることではないので、そのプロジェクトに参画し、成果を出していきたいと思っています。もし、そこで少しでも成果が出せれば、それを全国に広めることもできるでしょうと考えます。
 全国水辺のごみ調査は、手探りで始めたごみ調査でしたが、これまでの経験と反省を活かし、結果のフィードバックの充実、実施による学びの充実などの改善を図り、さらなる広がりを目指します。
 多くの人が川でのごみ調査や拾うことに学びのエッセンスを加え、川の環境保全を考え、ごみ削減の行動ができる仲間を増やしたいと考えます。
 最後に、河川基金の制度は、本当にありがたいものと感じています。私たちのように、活動を始めたばかりで実績の少ない団体、法人格を持たない任意団体でも助成していただけるチャンスがあることは貴重なものです。河川基金をいただいているおかげで、活動ができ、徐々にではありますが、全国に向け活動を広げる展開が可能となっています。助成金をいただきながらさらなるネットワークの拡大に努め、自立できる組織に成長していきたいと考えます。




 
全国川ごみネットワークにおける取り組み

 川ごみ問題の解決に向け取り組んでいます。まずはこの問題を多くの人に知っていただくことです。全国水辺のごみ調査(水辺のごみ見っけ!)では、普段親しんでいる川で、ごみに目を向け、ごみ削減を自分事として行動できる人を増やします。各地の水辺で活動する団体とネットワークを組み、川ごみの発生源対策・根本解決に近づくよう団体間、関連機関等と情報交換、連携をしています。
 全国水辺のごみ調査は4月から11月まで。ご協力お願いします。詳しくはホームページで。

【写真】美しい山形・最上川フォーラムで実施しているクリーンアップ活動

伊藤 浩子 Hiroko ITOU

全国川ごみネットワーク 事務局

東京都出身。2006年まで日本環境協会(こどもエコクラブ全国事務局)。
2007年、NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム非常勤スタッフ、後に専従職員。2013年、同事務局長。
2013年から川ごみに関する市民団体間のゆるやかな連携をはじめ、2015年「全国川ごみネットワーク」設立の一員。2017年春に荒川クリーンエイド・フォーラムを退職し、全国川ごみネットワーク事務局(非常勤)として、川ごみ削減の啓発に従事。
環境省登録 環境カウンセラー(市民部門)。