ケーススタディ
ケーススタディ
掲載日:2024.10.03
2024年8月。環境活動ボランティアの高校生達「エコユースやつしろ」のメンバーがプロジェクトWETエデュケーター講習会を新たに受講しました。過年度に受講した高校生たちが、地元小学生に対して水の授業を行う等、「エコユースやつしろ」を中心にプロジェクトWETを活用した取組が広がっています。関係者や今回の講座参加者等にプロジェクトWETについての感想や、気づいた事などを教えてもらいました。
実施日:2024年8月10日(土)
場所:熊本県八代市
指導者:松浦ゆかり氏(プロジェクトWETファシリテーター)
熊本八代市「エコユースやつしろ」向けにエデュケーター講習会を開催。
熊本八代市「エコユースやつしろ」メンバー向けに講習会を開催
2024年8月。熊本県八代市にて、「次世代のためにがんばろ会」環境活動ボランティアの高校生達「エコユースやつしろ」のメンバー向けのプロジェクトWETエデュケーター講習会が開催されました。「エコユースやつしろ」の青いTシャツを着た高校生達は、様々な年代の参加者と一緒に「水」にまつわる様々なアクティビティを体験し、水資源の価値と可能性を生き生きと学びました。
過年度に受講した高校生たちが、地元小学生に対して水の授業を行う等、八代市では「エコユースやつしろ」を中心にプロジェクトWETを活用した取組が広がっています。
以下では、「次世代のためにがんばろ会」メンバーや、講習会参加者のインタビューを紹介します。
最初に紹介するのは、「エコユースやつしろ」の多くのメンバーが通っている熊本県立八代高等学校の遠山規子先生です。担当教科は国語ですが、総合的な探究の時間の取りまとめをされており、その中で高校生たちが、地元小学生対象にプロジェクトWETを実施する企画を実施してくださいました。
本校では総合的な探究の時間の中で「地域を知る」ということをテーマの1つに掲げており、地域を流れる日本三大急流の球磨川についても学んでいます。球磨川の豊かな自然を守り伝えていくにはどうするかということを生徒たちが考えていく上で、プロジェクトWETのアクティビティがとても有効であると考えたのが実施のきっかけです。もちろん、次世代のためにがんばろ会の松浦代表からのすすめがあってのプロジェクト参加でした。
地球上の水の中で飲料水にできるのはたったの0.01%程度しかなく、大変貴重であるということがわかって、小学生たちはびっくりしていました。また、高校生と一緒にアクティビティをすることで、普段接しない人たちとの交流ができてよかったようでした。
高校生たちが小学生に向けて話す機会は多くないため、シミュレーションを十分にしていた印象があります。準備物も先生と一緒に準備をしていて、大変そうでしたが楽しそうに取り組んでいました。次世代のためにがんばろ会の皆さんにも生徒たちに見本を見せていただき、アドバイスもたくさんしていただきました。
また自分たちが学ぶことと、学んだことを人に伝えることの間には大きな差があり、人に伝えることはとても難しいことであること、しかし人に伝えることは自分たちの学びをより深める大切なことだとやってみて気付いたようです。
もともと水に関する興味や関心を持っている生徒たちの集まりではありましたが、講座を実施したことでより水に関する学びを深めたいという生徒が増えたように思います。進学先も生物系や農学系を選ぶ生徒が増えました。
資源を守る大切さを伝えたり守り続けるための活動等に、これからも携わっていってほしいと思います。また、直接は携わらなくても、環境に対する意識を高く持った大人に育ってほしいと思っています。
次に紹介するのは、今回の講習会に参加された皆さんのインタビューです。3名それぞれ紹介します。まずはエコユースやつしろのメンバー:濵田(はまだ)さんに感想を教えてもらいました。
濵:そうですね、普段から環境保全ボランティアだったり、干潟の観察会だったりに参加していたので、水の資源の大切さだったり、その守っていくために必要なことどんな事かな、みたいなのは普段から考えていたことでした。それを今回しっかり学ぶことが出来たのは良かったかなと思いました。
濵:はい、私が大学生に入ってからも、環境ボランティアには参加したいと考えているので、そのような機会があった際に、参加者側としてだけでなくエデュケーターとして講師側としてそういう活動に参加できたらいいかなと考えています。
次は、講習会を主催した「次世代のためにがんばろ会」事務局の山﨑さんにお話しを伺いました。山﨑さんは普段は学童保育に関わられています。
まず学童保育と学校の違いなのですが、学校は各学年各クラスに分かれての体制で同じ発達年齢での受講になりますが、学童保育の場合は、低学年1年生〜3年生、高学年が居るクラブもあります。発達年齢が1歳違うだけで理解、発言、コミュニティが全く違う空間ができます。学童保育という異年齢児同士が交わる空間で行うことでさまざまな視点、感じ方、発言がある中で伝えることが出来るのかなと期待しています。
また学校は受け身な所も多いかもしれないですが、学童はやはり子ども主体になってくるので、子ども達が色々自分で考える、そして行動する、という事をですね、教えることにも繋がるかなというところで、身近にある水について年齢が低いうちからどんどん水に関して興味を持つ機会をたくさん与えてあげたいなという風に思っています。
また、私がまず取り組みたいのは、『青い惑星』です。私は、地球に住んでいる限り皆地球人だという感覚を子どもたちに伝えたいです。地球のビーチボールに触れることで、まずは地球という惑星に住んでいるというイメージを面白く想像させたあと、水と陸地についての話をしたいと思っています。
今後取り組みたいことは、生活排水問題です。せっかく豊かな川があるのに川遊びできないほど汚れている川を見ると残念でなりません。汚れてしまった川を元にもどすには、かなりの時間と労力がかかります。でも皆で力を合わせたらキレイになるんだということを伝えていきたいと思います。山に雨が降って海に出るまでの、生活排水の質のことなどの話を持ち運びできる模型を作ってお話できるように学んでいきたいと思います。
また実際に水に関するいろんな視点からの考察だったり、意見だったり、水を通していろんな社会問題がみえてきたり、後は人との繋がりも見えて来ると思っています。プロジェクトWETもグループワークが盛り込まれていると思いますが、一つの問題に対して一人で考えるんじゃなくて、みんなで力を合わせてアイデアをフルに出し切ってそういった事で社会問題だったり、どう良くしていきたい、水に関する環境をみんなで良くしていきたいといった共通の思いをもってみんなで取り組むことが重要です。そういった意識を高校生たちが持っていてくれるということが、すごく有意義で、将来高校生のためにもなるものかなと私は思っています。なので、いろんな年齢層の方にですね、深刻にならずに楽しく考えて、取り組んでいけるような何かが出来ればいいなということで、頑張って目指したいと思います。
最後に、八代市職員の上村さんにお話しを伺いました。
上:はい、まずずっと環境問題に興味を持って、私が学生の時から勉強してきたんですけれども、特に水というのは無くてはならないものだと、それをどういったら分かりやすく伝えることができるか、学ぶことができるか、そういった所にこのプロジェクトWETのエデュケーター講習会をまず受けてみたいと思いました。
上:例えば、地球上の水は「海水と淡水が7:3」という風に教科書でさらっと見るよりも、実際に子供たちと地球儀を投げて確率といいますか、そういったので体験するということで、記憶にすごく残ると思います。子供たちも実際やった時はすごく楽しそうに遊びを交えながら、水の事を学んでくれたんじゃないのかな、と思うのでこういったトレンドを取りいれた学習というのは非常に有益といいますか、分かりやすくて記憶にも残るという風に感じました。
上:たくさんのメニューがある中で、まだ自分が体験したことがあるメニューというのが少ないので、これからもこういった学習会とか参加していきながら、自分の学びを深めていきたいなと思います。それを子ども達に伝えていくことが出来ればいいなと考えております。
以上、4名の方より色々な角度からプロジェクトWETについてお話を伺いました。これからもプロジェクトWETを使ってより一層環境活動が盛り上がっていくことを願っています。
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