プロジェクトWET

レポート

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久留米市における「プロジェクトWET」実践活動のレポート(2019年前期)

・レポーター:ファシリテーター鍋田康成(筑後川まるごと博物館運営委員会) 2019.07.19
・レポート期間:2019年2~6月
・場所:福岡県久留米市
    (筑後川防災施設くるめウス、久留米大学御井キャンパス、久留米百年公園)

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 九州一の大河・筑後川の中流域に位置する久留米市で活動する筑後川まるごと博物館運営委員会は、2017年以来1年に2回のペースでプロジェクトWETエデュケーター講習会を行なっています。先日2019年6月29日に5回目となる講習会を終わり、今まで合計97人のエデュケーターが誕生しました。この中から昨年12月までに8人の方が上級指導者であるファシリテーターとなっています。
 当初の受講者の中から「実践の場が欲しい」との声が上がり、2017年10月から有志が集まり「プロジェクトWET自主研究会」が始まり、筑後川防災施設くるめウス(以下、くるめウスという)において年6回程の活動を行っています。この活動は、今までエデュケーター講習会に参加された方々を対象に、これからの「プロジェクトWET」の活用について自主的に研究する場となっています。この会は自由参加の形で集まった皆さんと意見交換しながら、子どもたち向けの WETプログラムを実施するために、アクティビティの工夫と 研究を重ねてきています。併せて、子供向けWET体験会「水のふしぎ」を実施して、指導者としての腕を磨く実践の場としています。以下に、2019年前半の「プロジェクトWET」実践活動をレポートします。

1.【2月】子どもたちがプロジェクトWETを体験し「水のふしぎ」を学びました。

 2月2日(土)、くるめウスにおいて小学生を中心に親子17人が参加して、ファシリテーター4人の指導のもとプロジェクトWETを活用しながら、身近な水や環境を守る大切さなどについて楽しく学習しました。この日は4つのアクティビティ「水リンピック、侵入者、塵もつもれば、驚異の旅」を行い、「水リンピック」では水の性質と環境問題、「侵入者」では侵入外来種と生態系の変化、「塵もつもれば」では川の汚染、「驚異の旅」では水の循環について学びました。参加者の感想として「学びが多く体験しながらわかりやすかった」「遊びながら水の大切さにつなげられるのが良かった」と子どもたちや同伴の保護者の方に好評でした。終了後、反省点や次回へ向けての工夫などを話し合い、第10回目となる自主研究会を終えました。
 
塵もつもれば
 
侵入者
 
驚異の旅
 
水リンピック

2.【3月】筑後川での社会実験イベントで参加者が「水のふしぎ」を体感しました。

 3月9日(土)、筑後川の河川敷で行われた社会実験イベント、第1回リバークルーフェスティバルに合わせて九州内のファシリテーター6人が集り、第11回プロジェクトWET自主研究会を行うとともに、イベントに参加した子どもたち9人大人9人の計18人にプロジェクトWET体験「水のふしぎ」を行いました。始めに行った「青い惑星」は、地球儀のボールを投げ合って地球上の陸地と水面の割合を知り、人が使える水はごくわずかなことを学びました。「水リンピック」ではクリップを水に浮かべる競争を行って水の性質の1つ、表面張力を体感しました。「ブルービーズ」では、参加者が川のように並び、水に見立てたビーズを速さを違えて手渡すことで、川の流れを体験しました。「驚異の旅」では、サイコロを振って水循環の旅を体験して、どんな旅だったかを一人一人発表してもらいました。参加者からは、「自分の体を動かして体験するのが楽しかった」「水リンピックはわかりやすく親子が競って盛り上がった」「水の大切さを再認識した」「驚異の旅では、いろんなところに行けた人もいたし、同じところにずっと止まる人もいて、面白かった」などの感想がありました。反省点として、今回は年少者が多く、それに合わせた進め方が必要だと感じました。
 
青い惑星
 
 
水リンピック
 
ブルービーズ
 
驚異の旅
 
 
3.【5月】久留米大学の授業でプロジェクトWETを活用した「水防災協同学習」を実施しました。

 筑後川まるごと博物館運営委員会は、久留米大学と共同で「筑後川流域社会経済論」(年間30回)を開講して今年で19年になります。学生は単位が取れる正規の授業であり、一般の人も無料で受講できる公開講座です。
 5月13日(月)、初めての試みとして、プロジェクトWETのアクティビティ「洪水の歴史」をベースに90分の授業を行いました。学生と一般人計36人の受講者を6つのテーブルに分け「平成30年7月西日本豪雨による久留米水害」をテーマとしてグル一プ学習を行ないました。この授業の目的は、近年頻発する豪雨災害を身近に感じ、普段の災害への心構えを持ってもらおうというものです。ファシリテーター鍋田ほか2名が対応しました。
この授業を考えた背景には、2018年7月の西日本豪雨で、久留米でも広範囲な浸水被害が出たことにあります。くるめウスに近い国道210号線沿いの合川地区では、大小の商業施設、金融機関、住宅地など軒並み浸水し、多くの被害が出て回復には1か月以上の日数がかかりました。人的被害がなかったので全国ニュースにはならなかったのですが、これほどの浸水被害は、66年前の昭和28年大水害以来のことです。学生たちが普段生活する身近なところで起こったことであり、自分も被害にあうかもしれないと思って、常にこのリスクを考えておく必要があります。この協同学習ではみんなでこのことを考えて、その時に備えて意見を出し合いました。
 この授業では、ファシリテーターが昨年の水害の新聞記事や動画、ハザードマップなどの資料を情報提供し、各グループ毎にそれを読み込んで「資料で気になったこと」「災害への対応で大事と思うこと」「ハザードマップの活かし方」の3点ついて各自の意見を出し合いました。それをグループの意見にまとめて共有し、最後にみんなの前で発表しました。参加者の中には、この災害を実際に体験した人もおり「リスクを常に考えて行動する」「自分の住む地域の地形などを把握しておく」「ハザードマップを常に身近において意識しておく」「地域の人たちとの普段の関係づくりが大事」など現実に即した意見が出ました。講師が教壇から一方的に教えるいつもの授業のやり方より、みんなで考える協同学習方式は、参加者に当初の目的をより強く意識づけたようです。


6グループに分かれて協同学習のスタート


アイスブレイク(ペアでヒヤリング)
 
災害資料を読み込み意見交換
 
グループでまとめた意見を発表

4.【5月】久留米大学の学生と子どもたちが「水のふしぎ」を共に学びました。

  5月26日(日)、くるめウスにおいて第12回プロジェクトWET自主研究会を行い、ファシリテーター3人が集まりました。この日は、筑後川まるごと博物館運営委員会が久留米大学と共同で運営している筑後川流域社会経済論の授業を兼ねて学生14人が加わり、他に一般募集で集まった小学生5人と保護者3人の計22人が参加し「水リンピック、侵入者、ブルービーズ、塵もつもれば」の4つのアクティビティ を行ない「水のふしぎ」を学びました。「水リンピック」はクリップを浮かべる競争に子どもも学生も大いに盛り上がりました。「侵入者!」は子どもたちに人気の椅子取りゲーム形式で在来生物の絶滅の危機を体感しながら楽しんで学び「ブルービーズ」では「水の速さに自分の動きがついて行けず、川の流れが季節で大きく違うことがわかりとても楽しかった」という声が、また「塵もつもれば」では「自分たちが知らず知らずのうちに川を汚しているのがよくわかった」との声がありました。「楽しく活動しながら川への興味がわいてきた」などの感想が参加者から寄せられました。

 
水リンピック
 
侵入者
 
ブルービーズ
 
塵もつもれば

5.【6月】環境フェアでプロジェクトWETの子ども向け体験会を行ないました。
 
 6月2日(日)、筑後川に隣接する久留米百年公園で行われた「くるめ環境フェア」でテント出展しました。ファシリテーター5人が第13回プロジェクトWET自主研究会を兼ねて子ども向けプロジェクトWET体験会を行ない、延べ53人の子どもたちが楽しんで参加しました。狭いテント内でもできるように道具類を小さくするなど工夫して「水リンピック、ハンプティ・ダンプティ、驚異の旅」の3つを行ないました。参加した子どもたちからは「水ってふしぎだな。水のことが少しわかっていい体験でした。」などの感想がありました。屋外テントでの活動は初めてで手さぐりでしたが、室内とは違うやり方が必要だと実感しました。事前募集ができないため、テントの中に子どもたちを誘い込む工夫が必要です。まだ反省点も多々ありますが、少しづつ手直ししていきます。大きなイベントへの参加は多くの人の目に触れるため、アピール効果が大きいので継続していくつもりです。
 
環境フェア会場のテントでプロジェクトWET体験
 
驚異の旅
 
水リンピック

 
ハンプティ・ダンプティ

 
 
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  • 環境教育の人材・人材認定等事業データベース
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  • ERIC 国際理解教育センター