第10回 プロジェクトWETファシリテーター講習会【東京】 開催レポート
2015/12/02
今回、第10回目となるプロジェクトWETファシリテーター講習会を行い、15名の方が新たにファシリテーターとしてご活躍いただけることとなりました。
日 程 : 平成23年1月15日(土) 10:00-18:00 ~ 16日(日) 9:00-16:30
開催場所 : (財)河川環境管理財団 会議室 (東京都中央区)
主 催 : (財)河川環境管理財団 プロジェクトWETジャパン
講 師 : プロジェクトWETジャパン コーディネーター 宮尾 博一
ファシリテーター 建部 彰一
受講人数 : 18名(フォローアップ参加者3名を含む)
今回第10回目となるファシリテーター講習会は、前年10月に名古屋で開催した講習会同様「新アクティビティ」を多く入れ込んだ講習会となりました。これまでと同様、本講習会はプロジェクトWETの普及・啓発を担うファシリテーターの認定を行うとともに、プロジェクトWETの普及に関する意見交換、ネットワークづくり等を目的として開催しました。また、既にファシリテーターとなられた方に対するフォローアップ講習も兼ねて実施しました。
共同講師には、平成21年度に約1年かけて取り組んできました「新アクティビティ集」編集・発刊ワーキンググループでご協力いただいた奈良県の建部彰一氏をお招きしました。建部氏は同ワーキンググループの「水質チーム」をご担当された関係もあり、今回の講習会では「水質」を中心としたアクティビティを担当いただきました。
はじめに宮尾コーディネーターからは「水に関する職業」をアイスブレイクとしてアレンジして実施し、水源から各家庭を経て河口に水が利用されながら移動していくプロセスを様々な職業になってもらいながら、それぞれの自己紹介を交えて実施しました。その他「太古の水」も46億年という長い地球の歴史に思いをはせながら現在の水利用について考えました。
建部氏からは新アクティビティ集の「水質」部門である「ある時点のスナップショット」を幼年向けオプションを含めて実施していただいて「流域の水質の分析・比較」を行い、同じく同部門の新アクティビティ「ルックスがすべてじゃない」を寸劇を取り入れて実施してもらいました。
ピアティーチングでは「8人がひとりのために、ひとりがみんなのために」や新アクティビティの「コミュニティを比較しよう」の他、事務局主催講習会のピアティーチングでは初めての登場となる「お腹痛くない?」と「エネルギッシュな水」をメニューに取り入れ、大いに盛り上がりました。
意見交換の場では、低学年向けにアクティビティを実施する際の注意点や工夫すべき点、プロジェクトWETの普及・活動の機会の確保やメリット付けの必要性など様々な意見が出され、今後のプロジェクトWETの展開方法について大きなヒントを得ることができました。
今回の講習会で実施したアクティビティの簡単な概要を記載いたしましたので、是非ご参照いただければと思います。
●「水に関する職業」(アイスブレイクとして実施) ガイドブック本編 p360
●用意した主な道具: 水に関する職業カード、水源から河口までの全体図
●概要: 水源から各家庭を経て河口に水が利用されながら移動していくプロセスを「水源の管理」「「浄化~配水」「水道管の設置や維持管理」「下水道の設置から下水処理、再利用」「水資源政策や河川管理」の5つのカテゴリの職業になってもらいながら、それぞれの自己紹介を交えて実施。
●ポイント: 「水源地の森林管理者」や「取水施設の管理者」、「下水道管の工事者」など日本の実情に合った職業のカードを新たに作成しました。エデュケーター以上の方で、このバージョンの「水に関する職業」を試してみたい方は事務局までご連絡ください。
自分の職業はどのカテゴリに当てはまるでしょうか?
●「ある時点のスナップショット」 新アクティビティ集 p97
●用意した主な道具: (導入部に)溶存酸素検査キット、セロファン、色紙 など
●概要: 流域の一つの場所で一回だけ収集した水質データといろいろな場所で収集した一連のデータとの違いを見分けます。
●ポイント: ガイドブックに記載されている「幼年向けオプション」もふくめ、初めてフルバージョンで実施。色紙を拾う際にセロファンのサングラスをかけるとどうなるか、「川の透明度が低下した」という設定等様々な環境要因の変化を楽しく体験してもらいました。
透明度が低下した川に臨む魚たち
●「太古の水」 ガイドブック本編 p171
●用意した主な道具: 10mのロープ等
●概要: 地球の誕生から現在までの約46億年を10mのロープに見立て、水の発生や生物の誕生はどの部分に当たるか等について考えてもらい、時間という抽象的概念を具体例に当てはめて「見える化」します。
●ポイント: その時代毎の背景を壁画風にイラストするとさらにイメージがしやすくなり、盛り上がるアクティビティです。人類の未来における水利用や出来事なども「創造」してみると色々なアイデアが出てきそうです。
3億年前はどんな生物が?
●「ルックスがすべてじゃない」 新アクティビティ集p105
●用意した主な道具: カード等
●概要: 仮想のキャンプ旅行をして、人間の疾病と水質との関連性を調査します。
●ポイント: 数名のグループに分かれて仮想のキャンプを行い、そこで起きた出来事等を寸劇で報告してもらい、何が原因で病気になってしまったかを推理するアクティビティです。各グループともアドリブを交えた白熱の演技でとても盛り上がりました。
本当にアドリブ?というぐらいに演技力豊かな寸劇ばかりでした。
●「お腹痛くない?」(ピアティーチング) ガイドブック本編 p85
●用意した主な道具: ボーナス券等
●概要: 病気に対する日々の予防策を挙げてもらった後、それらの予防をよく行っている人には「ボーナス券」を配布しました。次に鬼を決め、「鬼ごっこ」をしながら 鬼が倍々と増えていく様を皆で体験しました。
●ポイント: 教室の広さや障害物等の要因が、全員が鬼になるまでのタイムに影響していました。
日々の健康管理がためされます。
●エネルギッシュな水(ピアティーチング) ガイドブック本編 p242
●用意した主な道具: 様々な缶、工具、ひも、カップ等
●概要: 水車など水を仕事に使用している例を挙げてもらい、 実際に身近にある道具を活用し、水に「鉛筆を移動させる」などの仕事をさせ、様々な水の利用法を学ぶアクティビティです。
●ポイント: 大人も頭を悩ませ試行錯誤しながら「水の装置」を作ってました。与えられたお題のハードルが高いほど、ひらめきや知恵の寄せ合いが物を言い、大人でもかなり熱中しました。
水でエンピツは動かせたかな…??
●「8人がひとりのために、ひとりがみんなのために」(ピアティーチング) 新アクティビティ集 p33
●用意した主な道具: 透明バケツ、ヒモ、ゴム、小道具等
●概要: 水災害の際に活躍する8つの職業になりきってもらい、みんなで助け合いながら水を運ぶアクティビティ。途中各役割によって「土のう」を積む、「ケガ人カー ド」を「医療関係者」に渡す等の作業を行いながら、水がこぼれない(被害を出さない)ように上流から下流まで増水した水を運びました。
●ポイント: 2チームに分かれ、1回目は言葉を発しないで実施してもらい、2回目はコミュニケーションをとりながら実施してもらうことで、共同作業の円滑化にどう影響を及ぼすかをシミュレートしました。道具を増やす、少なくする、独自のルールを定める等をおこないアレンジの幅がひろがるようなアクティビティだと思います。今後色々なバリエーションが生まれることを期待しています。
災害を最小限にとどめるには地域防災力がためされます
●「コミュニティを比較しよう」(ピアティーチング) 新アクティビティ集 p143
●用意した主な道具: サンゴ礁のDVD、カード等
●概要: サンゴ礁の生態系における基本的な役割や関係を学び、同じような概念を人間社会の中から探し出します。
●ポイント: ガイドブックに記載されている内容を踏まえ、更にアクティビティに「動き」の要素が出るように、グループ内でクイズ形式でサンゴ礁の生態系における役割や関係を学んでもらったり、他のグループと比較したり、お題を出し合ったりと様々な工夫が盛り込まれ、非常に盛り上がりました。
サンゴ礁のコミュニティを人間社会に当てはめると・・・?
終わりに
今回の講習会も、ファシリテーター講習会にふさわしく、笑いの要素を入れたり、様々な工夫を凝らしながらアクティビティが実施されたこともあり、とても楽しく時間が過ぎ、あっという間に終了時間となりました。 たいへん熱心で意欲的な方々ばかりでしたので、今後プロジェクトWET等を通じた水に関する教育活動の普及を一緒に行うためのネットワークが更に広がったことが大変大きな収穫でした。
次年度も皆様の来られやすい時期を調整して開催したいと考えております。エデュケーターの方で参加を希望される方は是非「WETnews」にご登録下さい。随時情報を配信したいと思います。
「ある時点のスナップショット」 おまけ PHOTO (ちょっと怪しい・・?)