相模川上下流交流会:源流域の生き物調べと皮むき間伐体験
2018/08/01
■採択助成番号2018-6111-013
■実施場所
山梨県都留市 戸沢川
■実施期間
2018年7月21日(土)
■実施団体
NPO法人 暮らし・つながる森里川海(呼称:湘南いきもの楽校)
共催:桂川・相模川流域協議会
■代表者
臼井 勝之
■報告タイトル
相模川上下流交流会:源流域の生き物調べと皮むき間伐体験
■本文
今年の上下流交流会は相模川の源流部、山梨県都留市の戸沢川で開かれた。
上流部(山梨県)と下流部(神奈川県)で毎年交互に開いている催しで、昨年は深山から海水を飲みに来るアオバト観察や馬入水辺の楽校で川遊びを楽しんだ。
到着早々、大きなナナフシモドキやニホントカゲなどが出迎えてくれた。みんな上機嫌になる。山梨の子どもたちと合流し、戸沢川の生き物探しに出向いた。
下流部の川と違って、水は冷たく、澄んでいる。一見すると何もいないように見えるが、石の下などをガサガサすると、ヘビトンボやカワゲラなどの幼虫がたくさん見つかった。夢中になって石をひっくり返す。種類と個体数を数える。じっくり見るとみんな個性的な姿・形をしていて素敵だ。川が多くの命を育んでいることを体感した。
川から離れ、森の中に入り、皮むき間伐を体験した。「NPO法人森の蘇り」の皆さんに森林保護のいろいろを聞いた。間伐をしないと隣り合わせの木の根と葉が触れ合い、葉を広げるのをやめ、上に伸びてしまい幹が太くならない。倒れやすく、森を荒らしてしまうことなどを教えてもらった。
間引きし、林内に光を入れてあげると、草花が茂り、多くの生き物が棲めるようになる。残された木は大木になり、価値ある木に育つ。しかしながら、間伐は労力がかかることやコストが合わないことから、放置林が増えている。
そこで、皮むき間伐の登場となる。木の皮を剥いて、ゆっくり立ち枯れさせ乾燥させると一年後に重量が三分の一になり、労力が大幅に軽減される。同法人はこの手法を「きらめ樹」と呼び、普及に勤めている。利点は子どもでもできること。
先ずは、残す木を選ぶところから始まる。10m四方に生えている木の総断面積を計算すると残す木の本数が決まる。竹べらと木槌を使い、剥いだ皮をみんなで引っ張ると、ツルツルの樹の肌が出てくる。皮の裏を舐めるとほのかに甘い。500年後には大木になるとのこと。見てみたいが叶わぬ夢である。そこにロマンを感じる。
森と海はつながっている。豊かな森からはミネラルなど、様々な物質が川に流れ、植物プランクトンを発生させ、動物性プランクトンなどの餌となる。食物連鎖が豊かな海をつくる。森が蘇れば海が蘇る。清流の生き物とそれを支える豊かな森がそのことを教えてくれた。
こうした催しを開催すると、疲れた(飽きた)と言う子が出てくるが、今回はその声を聞かなかった。熱中!川の生き物調べ、皮むき間伐となった。
※参加者51人(子供16人、大人22人、スタッフ13人)
■写真1
清流の生き物調べ。水冷たくて、気持ちがいい。
一見なにもいなそうだが、石の裏にはたくさんの生き物が!
■写真2
小さな生き物だが、姿・形が個性的で、なんだか格好いい!
種類と数を調べる。
■写真3
「NPO法人 森の蘇り」の皆さんに、日本の森の現況や間伐の手法「きらめ樹」のことなどを学ぶ。
森と海がつながっていることを教えてもらった。
https://mori-no-yomigaeri.jimdo.com
■写真4
スギやヒノキの皮を剥ぐ。ゆっくり立ち枯れさせると1年後に重さが三分の一になり、労力が軽減される。
子供でもできる作業だ。「きらめ樹」と掛け声をかけて引っ張る。一体感が生まれ、なんだか楽しい!
■写真5
この笑顔を見てください!
今回の催しでは「疲れた(飽きた)」という声が聞こえなかった。
熱中!源流生き物調べ、皮むき間伐となった。