【河川基金からのお知らせ】

地域の歴史・文化と深くかかわる笹尾川の環境保全と親水活動を目指して

2019/10/08 事例紹介

笹尾川水辺の楽校運営協議会  会長 松尾 一四さん  事務局長 甲斐 春樹さん  会計 白石惠光 さん

カヌー乗船指導の「くすばし少年消防クラブ」
 
 

設立のきっかけや経緯

平成11年、笹尾川や遠賀川流域で環境学習ができる場を作ろうと、当時の北九州市職員が「足元から取り組む水質改善作戦」を提案し入賞。その後、平成13年に同職員提案
の事業プランで国土交通省「水辺の楽校プロジェクト」に申請し登録されました。まもなく推進協議会が設立され、平成15年に学識経験者などを招いてワーキングを行い、皆様の
ご指導を受けて基本設計を作成しました。
 平成15年に施設整備に着工し、平成16年に「笹尾川水辺の楽校」として開校し運営協議会が発足しました。その当時は、川は危険だから近寄ってはいけないという雰囲気があ
り、学校関係者等の理解を得るのが難しい状況でした。そのため「水辺の楽校」に子どもたちが全く寄り付かない状況になっていました。どうにか子どもたちの遊び心を刺激するような親水活動はないかと協議を重ねた結果、カヌー体験にターゲットを絞って、「親子参加による手作りカヌー教室」を2年間実施し、このカヌー体験を親水活動の核にしました。
 ただ、スタッフが全くの初心者でしたので、「笹尾川カヌー&安全教室」と称し、RAC(NPO法人川に学ぶ体験協議会)の方に乗り方や安全指導をお願いしたのが講習会の始まりです。今でこそ自前のカヌーもたくさんありますが、最初は資金がないのでカヌーが買えず、他団体から借りて開催していました。

 

15年間の活動概要

スタート時は、水生生物調査と水質試験、ネイチャーゲーム(自然を活用したアクティビティ)、ビオトープでの昆虫採集などを行なっていましたが、カヌーが加わってからは、水生生物調査と水質調査、カヌー活動の3本柱となりました。
 
 水生生物調査、水質調査、カヌー体験は、小学生を対象に、年2回「笹尾川水辺で遊ぼう!」をテーマに開催しています。また、地域の市民センターとは「いきいき子供講座」と
して共催しています。
 水生生物調査では遠賀川河川事務所に、水質調査では北九州市上下水道局水質試験所のご協力をいただいています。
 一方、近隣小学校と連携し「みずしるべ」と称して、総合学習の時間で水生生物・水質調査などの環境学習を行なっていましたが、総合学習の時間が少なくなり継続するのが難しくなりました。今では先述のいきいき子供講座に、この「みずしるべ」を織り込んで学習しています。
 カヌー体験は、地域の中高生で構成されている「くすばし少年消防クラブ」が、乗船指導スタッフとして活躍してくれています。また、この少年クラブには河川財団発行の「水
辺の安全ハンドブック」とビデオを活用した、カヌーの安全講習会等を毎年行っています。
 ほかにも、近隣の7つの幼稚園、総勢250名参加の「鮭の飼育と放流大会」を開催し、鮭の稚魚を放流しています。このために園児たちは3キロ以上の道のりを歩いてきてくれます。引率の先生方にも大変感謝しています。
 
 さらに、香月中学校美術部は水辺の楽校がある芝谷橋橋脚に毎年壁画を描いています。今年で4年目です。毎年生徒たちが考えた様々なテーマで、地元の風景が鮮やかに描かれています。これが要因かわかりませんが、当初は数名だった美術部員が今では35名になったと聞いています。地元新聞にも掲載され話題になり、地域の方も毎年楽しみしてくださっています。

 

河川管理者との連携

遠賀川河川事務所とは、河川協力団体としても連携しているので、大変お世話になっております。河川事務所が中心となり、遠賀川上中下流と田川の4団体が一緒になって活動をしており、4団体とも遠賀川を想う強い気持ちが一致しているので団結力が強く、活発な情報や意見交換をしています。河川事務所は、地域との合意形成をきちんと図り、地元のお祭りなどの地域活動にも積極的に参加してくださるので大変助かっています。情報発信のフェイスブックも河川事務所の方に教えていただきました。私たちの情報もすぐに「知っ得情報!遠賀川」にシェアしてくれています。

 

人は財産

 会員数は43名で、年々会員数は増えています。平均年齢は平成20年では63歳でしたが、今ではほぼ70歳です。高齢化が進んでいるのは確かですが、嬉しい事に40 代の方も増えています。ここ1・2 年ですがご理解を頂いて小学校のPTA活動の一環に、水辺の楽校への参加も入れてくれています。
 人材確保はやはり課題です。様々な活動を行なっている中で、優秀な人材には直接お声を掛けています。いわゆるスカウトですね。ただどこに行っても集まるメンバーは大体一緒
なんですよ(笑)
 若手の育成は、九州全体の河川協力団体で指導者養成講座、次世代の会でそれぞれ年1回行っています。やはり次世代の担い手は大事ですからね。

活動資金の確保

今は3つの助成を頂いて活動資金としています。ひとつは河川基金です。備品などを中心に活用しています。平成23年から頂いていますが、実は平成29年に1回だけ落選をしました。ちょうど会長の交代時期と重なったもので本当に落ち込みましたね。
 ただ資金がないと活動ができないので、そのときに応募したのがTOTO水基金でした。この基金は3年間の助成確約があり本当に有難かったです。企業連携もこれがきっかけ
で始まりました。助成の条件で、従業員を草刈などの環境作業に年2回参加をさせて欲しいとのことでした。従業員はもちろん、ご家族もバス1台借りきってきます。社員教育の一
環も兼ねているのだと思います。
 3つ目の北九州市環境保全基金は、中学生が取り組んでいる橋梁の壁画を中心に活用しております。

 

今後の河川基金へ

環境整備で定期的に草刈りをしていますが、除草作業が本当に大変なのですよ。皆さんボランティアで、早朝から参加いただいています。その際パンや牛乳などお配りしたいのですが、河川基金では飲食費を使えません。その分は、河川協力費の中から工面しています。会員の方々は地域を想う気持ちの強い方が集まっていますが、全て無償のボランティアでしたらここまで人を集めるのは難しいと思います。そこをご理解いただけると助かります。
 
 モチベーションを保つ秘訣は、やはり地域を想う熱意です。地域のイベントがあれば皆さん、早朝から準備をし、後片付けも率先して参加をしてくれます。また諸先輩方がとにか
く一生懸命なのです。その姿をみて賛同し、その先輩方の後姿を見て奮い立っています。

 
 
【笹尾川水辺の楽校運営協議会 取組概要】

遠賀川水系である笹尾川に「笹尾川水辺の楽校」が整備されたのを契機に、笹尾川周辺の幼稚園・小・中・高校生を対象に様々な親水事業を行なっている。近年は、遠賀川河川事務所、北九州市上下水道局水質試験所、北九州立大学、小学校、市民センターなどの協力を得て、地域だけでは出来ないような水質・水辺調査等も行なっており、活動の幅が広がってきている。また、河川敷清掃・草刈など水辺環境管理にも力を注いでいる。
(写真:香月中学校美術部の壁画の完成式典)

(写真左)
白石 惠光 Shigemitsu SHIRAISHI

会計

出身:福岡県北九州市八幡西区
水辺の楽校を立上げ時、若干の浸水を気にしながら試乗した手作りカヌーの活動を皮切り

(写真中央)
松尾 一四 Kazushi MATSUO

会長

出身:福岡県北九州市八幡西区
のぼせもん。色んな事業に首を突っ込んで、取組事業が膨らみ、会員の皆様にご迷惑をかけている。

(写真右)
甲斐 春樹  Haruki KAI

事務局長

出身:熊本県阿蘇郡産山村
北九州市役所退職後、諸先輩のお誘いで設立当時から運営参加している。