【河川基金からのお知らせ】

「地域の川『七北田川』を知ろう」で深い学びを実現

2019/04/15 事例紹介

仙台市立北中山小学校(宮城県) 教諭 木村 千春 さん  教諭 今野 友明 さん

カワラバン(宮城県)  代表 菅原 正徳 さん

学校近くの七北田川(万人淵)での体験学習の様子
  

先生と川の指導者の出会いから

 仙台市立北中山小学校の七北田川をフィールドとした学習活動は、東日本大震災直後の平成23年度から始まりました。
 当時の教務主任だった佐野先生が、校区内を流れる七北田川での学習活動を模索しているときに、仙台市の泉区中央市民センターの紹介で主に広瀬川を中心に活動していたNPО法人川に学ぶ体験活動協議会(通称:RAC)の川の指導者でもあるカワラバンの菅原さんとの出会いにより、七北田川での体験を通した学習が本格的にスタートしました。

 七北田川を活用する学習は校外活動であり、活動資金の確保も課題となっていたところ、東日本大震災直後の河川基金の緊急助成事業「子どもたちを勇気づける緊急助成」の情報について菅原さんを通して知り助成申請を行った結果、学校には津波災害から避難転校してきた児童も在校していたこともあり、新規採択され活動資金の手当てが出来たことも活動を進める上での大きな要因となったと考えられます。
 学校としては、その後、河川基金の助成制度を継続活用し、七北田川をフィールドとした体験学習が現在まで継続されてきています。

川学習を通した教育効果を実感

 七北田川をフィールドとしたの学習活動は、主に3年生が総合的な学習の時間を活用して行っています。
 3年生になると社会科の地域学習で、市町村を対象とした学習となっていますが、新興住宅地に立地している北中山小学校では、児童にも分かりやすく実感しやすい身近に存在する七北田川を学習対象としたことが特質されます。
 平成30年度の3年生を担任する木村先生によれば、身近な七北田川には、水の流れ、水質、河原の石、多様な生き物、上流や下流とのつながり、水の利用、地域の農業や暮らしとの関わりなど、多様で魅力ある学習素材があり、児童の興味・関心が高まる題材であることを再認識するとともに実感していますと話されていました。

 3年生は、児童一人一人が夏前から七北田川での学習テーマを定め、総合的な学習の時間を活用し、主に菅原さんに外部講師(専門家として)をお願いし、学校近くの万人淵(広瀬河原)での生き物調査等の体験学習から始め、上流の泉ヶ岳ヒザ川(源流部の沢)、河口近くの蒲生干潟での体験学習を通して、新たな発見や驚きなどの感動、そこから自ら自分で決めたテーマや疑問等について図鑑などを使った調べ学習へと学習意欲(やる気)が、1年間を通して徐々に高まっていく様子が見られたとのことです。

 学年末には、共通のテーマごとにグループをつくり、保護者や地域の人たちを招いて、1年間の学習の成果をまとめ発表します。
 平成31年2月27日(水)に行われた発表会を参観させていただきました。3年生全員(3つの組の児童約100人)が30ほどのグループに分かれ、前半の部と後半の部に分かれ、保護者や他の児童に向けてポスター、リーフレット、工夫を凝らした模型、疑似体験できるセットなどを駆使して、3年生とは思えない素晴らしい発表を行っていたことが印象に残っています。

 平成29年度に3年生を担任し、30年度に4年生の担任となった今野先生からは、4年生になり社会科や理科の中で水や生き物等に関連する単元を学習するところでは、3年生での七北田川の体験学習に結び付け、関連付けて学習することで、理解が早く学習効果が上がっていると話されていました。
 さらに、4年生での学習発表会の様子を見ると、プレゼンテーションの質が高くなっていることが見られることと、人の話をよく聞く態度が身についていることが実感できると話されていました。

 

学校の教育活動として定着

 北中山小学校では、七北田川をフィールドとした体験学習がスタートした平成23年度当時を知る先生は、平成30年度現在一人もいない状況となっていますが、学習活動はその後も毎年度継続されてきています。
 3年生を担当する先生や学校長は、何人か交替していますが、木村先生や今野先生によれば、七北田川をフィールドとした3年生を主体とした体験学習は、児童の学習意欲の向上につながり教育効果も大きいとして引き継がれ、さらに、保護者にも認識され、活動時の協力支援もしてもらえる環境となってきていることから、学校の教育計画の中にしっかりと定着していることが伺えました。

 児童数が多いため、1回の体験活動で豊かな経験をさせることが難しい。そこで、学習活動の充実を図れるよう用具や備品等をそろえるために河川基金を活用するとともに、交通費や指導謝金等の活動資金についても河川基金の助成制度を活用することで、保護者等からの新たな負担等をお願いする必要もないことから、河川基金の助成制度は大きなメリットがあるとして先生が交替しても、必ず引き継がされてきているとのことでした。

 

外部講師と学校現場の信頼関係の構築

 毎年度継続して外部講師をお願いしている菅原さんは、仙台市を中心に多くの小学校や幼稚園等で、川を利活用した体験学習の支援を行っています。川の生き物の専門家であるとともに、RACの川の指導者として安全対策に関する知識とスキルを有していることから、学校現場の先生方の信頼も厚く継続した活動につながっていると考えられます。
 このように、地域の市民団体等で川をフィールドとして活動している必要な知識と安全対策等のスキルを有する川の指導者と学校現場が連携する取組みが全国各地の河川に広がることができれば、「川に学ぶ社会」の再構築に向けて大きな役割を果たすと期待されるところです。

 

今後について

 北中山小学校は、七北田川をフィールドとした体験学習活動を平成23年度から継続実施し、学校教育活動の主要な取組みとして定着し、地域や保護者からも3年生になったら体験学習ができるということが認知されている地域環境とともに、教育効果も大きいとのこれまでの実績から、平成30年度に新たに赴任された高山校長をはじめ取材した二人の先生方からは今後とも継続していきたいと話されていました。

 この中で、今後は、総合的な学習の時間だけではなく、実際の学習活動の内容から国語、社会、理科などの教科とのクロスカリキュラムで実施することを考えていきたいとも話されていました。
 さらに、過去にも実施した経験があるとのことで、3年生だけの一学年のみで実施している体験学習を複数学年で体系的に実施することを考えていきたいとも話されていました。

 七北田川をフィールドとした体験学習を継続実践している北中山小学校を訪問し、活動現場(七北田川の万人淵)と発表会を見させていただきましたが、学校から万人淵までの子どもたちの徒歩移動を考えると、往路は下り坂で15~20分程度、復路は上り坂で25~30分と、アクセスにかなりハードな地理的・地形的な条件があると思われました。
 しかし、このような条件があるにもかかわらず、活動現場に隣接する砕石事業者のトイレ等の利便施設の全面的な協力、先生方の熱意、カワラバンの菅原さんとの強固な連携関係が感じられ、七北田川をフィールドやテーマとした体験学習が今後も継続・実践されていくと強く感じられ、印象に残る取材となりました。

児童が作成した「七北田川パンフレット」

 
 
仙台市立北中山小学校の取組

 校区内を流れる七北田川をフィールドとした体験学習は、東日本大震災直後の平成23 年度から3年生を主体として、総合的な学習の時間を活用しこれまで毎年度継続してきている。
 活動の概要は、学校直下の中流(万人淵)の生き物や水質の調査等、さらに上流(源流のヒザ川)と下流(蒲生干潟)の現地での体験学習を通しての1年間の学習活動をまとめ、保護者や地域住民等を対象とした発表会を行っている。

(写真:七北田川の模型(上・中・下流)を使った川の生物の発表)

(写真右)
木村 千春 Chiharu KIMURA

仙台市立北中山小学校 教諭
平成30 年度3 年生担当教諭

(写真中)
今野 友明 Tomoaki KONNO

仙台市立北中山小学校 教諭
平成29 年度3 年生担当教諭

(写真左)
菅原 正徳 Masanori SUGAWARA

カワラバン 代表
平成23 年度から外部講師を継続