傾向と対策
このページでは2098件(R02.3現在)の事例を参考に代表的な水辺のひやりはっとを選び、その対策について概ねリスク因子区分別で件数順に紹介しています。
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滑る (432件 ・ 21.4%)
水際の護岸や浅瀬の石などは表面にコケが付着していることが多く、そのコケがとても滑りやすくなっています。リバーシューズといわれる川専用の靴であれば多少は滑りにくくなりますが、絶対に滑らない訳ではありません。乾いている石やコンクリートでも濡れれば滑りやすくなります。単にすべるだけであればよいのですが、滑った後に本流に流されたり、深いところまで流されると、溺れることに直結します。 水際に近づくときや浅瀬に入るときには滑りにくい靴を履くことも大切ですが、滑って流されることを前提に、事前の準備をしましょう。
流される・足をすくわれる (248件 ・ 12.3%)
川は一見穏やかに見えても流れの中に入ると、実際は思った以上に流れは速いものです。また、流れの速さは岸際と川の中央付近など場所によって違います。また浅いからといって安心していると足をすくわれて深いところへ流されてしまうこともあります。 川に入るときにはライフジャケットなど浮力の補助になるようなものを身に付けておくことが大切です。
落ちる・崩れる (136件 ・ 6.7%)
水際には草むら生い茂っていることが多く、その草むらの先の見通しはあまりよくありません。陸地だと思って踏み込んだところが、既に川の上になっているということもあります。また、人間の頭は体重の1割もあり、水面を覗き込むとバランスを崩しやすいものです。土や砂がとても崩れやすくなっている水際では、川に落ちることを想定してライフジャケットを付けるなど事前の準備をしましょう。
転ぶ (107件 ・ 5.3%)
水際は、人間の居住空間とは異なり、平らなところがほとんどなく石などで凹凸のあることろがほとんどです。そして平地で歩き慣れている我々現代人にとっては予想外に転びやすいものです。また、大きな石や岩であっても、その底の部分が流されていて、その上に乗ったときにぐらつくような浮石となっていることがあり、転んで手をついた時に捻挫や骨折することがあります。 水際に近づくときには、転びやすい場所だという認識をするとともに、自分よりも大きな石や岩であってもぐらついたり動いたりする可能性があることを十分に考えましょう。
巻き込まれる (75件 ・ 3.7%)
堰堤の直下にはリサーキュレーションという縦回転の上流側に逆巻く渦が発生しています。その渦にはまってしまうと、パドル操作が上手くても上流からの落ち込む流れと、渦の逆巻く流れにはさまれて脱出できなくなります。 このようなリサーキュレーションが発生しているところには絶対に近づかないようにしましょう。
深みにはまる (70件 ・ 3.5%)
川底はプールなどの人工的な空間とは異なり、平らなところはほとんどありません。一般的には岸から川の中央へ向かって深くなっていると思われていますが、地形等の影響で川底が急にえぐれていたり、崖の様に落ち込んでいるところがあります。このようなところでは流れが複雑になっているために、足をとられ不意に沈むことでパニックになり、下に向かう流れに引き込まれると、さらにあせって溺れてしまいます。 川に入るときにはライフジャケットなど浮力の補助になるようなものを身に付けておくことが大切です。
溺れそうになる・水を飲む (69件 ・ 3.4%)
急に子どもにしがみ付かれたり、不意に誰かに押されてしまったり、自分の思ったより川が深かったり波が強かったりすると、水を飲んでしまい、時には咳き込んでとても苦しい状態になります。この状態になると呼吸が困難になるためパニックを引き起こしやくなります。水を飲まないよう自分の体に合ったライフジャケットを体にしっかりと着けることが大切ですが、刻々と変化する周りの状況変化を常に感じ取りましょう。
切る・刺さる・剥がれる (64件 ・ 3.2%)
靴が濡れるからとか、危なくなさそうだ等という理由で、裸足で川遊びをしていると、ガラスや陶器の破片や切れた空き缶などのゴミで足を怪我することがあります。また裸足ではなくてもビーチサンダルやクロックスなどはとても脱げ易いので、裸足で川に入ることとあまり変わらないばかりか、脱げて流された靴を取りにいこうとして溺れてしまうこともあります。 また、スポーツサンダルやリバーシューズは便利ですが、つま先などの露出している靴は、石などで足の爪が剥がれしまうことがあります。 川に入るときには、足全体が保護されるタイプのリバーシューズや紐の運動靴など脱げにくく、靴底の厚いものを履きましょう。コケなどで滑りにくい素材のものをお勧めします。
あたる (60件 ・ 3.0%)
川には常に上流か下流へ向けて莫大な運動エネルギーをもつ「水」が流れています。その流れに乗っている状態で何かに当たるというのは、自転車に乗っていて、枝や電柱に衝突した時と同じくらいの衝撃となります。また、岩などの上から飛び込みをするときにも、飛び込む先の川底が浅いと、川底に足や手や頭をぶつけて大怪我したり、川底の岩と岩の間に足を挟んで抜け出せなくなることがあります。事前に、飛び込む先の状態を確認したり、下に人がいるときには次の人が飛ばないよう指導者等がコントロールすることもとても大切です。※川底の状況を確認するときには安全対策を考えて行いましょう。
冷える・足がつる (44件 ・ 2.2%)
外気が30℃以上の真夏でも、山間の川では20℃以下のところもあります。また水の中というのは陸上と異なり、25倍以上の速さで体を冷やす特徴をもっています。さらに流れがあるところでは流れのないところの数十倍数百倍の速さで体を冷やすと言われています。そして足が冷えると、筋肉が縮みやすくなるために、足をつりやすい状態になります。川に入るときには、特に足のストレッチを十分に行い、その環境に応じて、ウェットスーツやドライスーツなど体温低下を防ぐウェアを着用しましょう。
勝手行動・見失いなど (36件 ・ 1.8%)
川で遊び学ぶという体験はとても楽しい時間ですが、その反面、特に子どもは夢中になりすぎて周りの声が聞こえない状態になりがちです。また、流れがあるために、行動範囲を決めていてもそれを守れない人が必ず出てきます。指導的立ち場の人は、常に参加者に何か発生したときにでも直ぐに対処できる位置に監視を配置しておきましょう。
パニック・焦る (37件 ・ 1.8%)
自分が思っていたよりも、急に深くなったり、流れが強かったり、水が冷たかったり、誰かに突然捕まれて水を飲んだり、立てると思ったところで立てなかったりすると、人は焦り、時には危険なパニックになってしまいます。最善の行動をとるために、先ずは焦る自分も含めてその予測していなかった状態を客観的に把握しましょう。
転覆する (124件 ・ 6.2%)
カヤックやカヌーは川での体験活動やレジャーでとても人気がありますが、舟の形状によっては技術がないと転覆しやすいものもあります。 カヤックやカヌーに乗るときには転覆しやすいかどうか専門家に確認するとともに、転覆した後の対処方法もしっかりと習得しましょう。
衝突する (97件 ・ 4.8%)
カヤックやカヌーなど、舟での川くだりは、川体験の醍醐味ですが、川は崖や水制工作物などの水衝部付近で曲がっているために、舟のコントロールを誤ると岸に激突して転覆したり舟と岸の間に人が挟まってしまうことがあります。 計画段階で自分の技術で川くだりできる環境なのか判断し、もし無理であればコースを変えるか、自分の技量以上の区間は舟を担いで通り過ぎる(ポーテージ)等して回避しましょう。
はりつく・吸い込まれる (68件 ・ 3.4%)
カヤックやカヌーなどは転覆すると、流れる大きな漂流物となりがちなので、テトラポットや杭、岩や倒木などがある場所では、それにはりつしまうことがあります。特に、水衝部付近のカーブしているところで転覆すると、場合によっては舟と岸の間に人がはりつりたり、水中への流れに吸い込まれてしまうこともあります。 計画段階で自分の技術で川くだりできる環境なのか判断し、もし無理であればコースを変えるか、自分の技量以上の区間は舟を担いで通り過ぎる(ポーテージ)等して回避しましょう。
(急な)増水 (41件 ・ 2.0%)
今いる場所が晴れていても、上流部で発生した局地的な集中豪雨で、川の水が急激に増えることがあります。また、ダムの放流サイレンに気づかずに、増水にあう場合もあります。上流部の天候の変化を常に把握し、また、放流する時間帯やサイレンにも気を配り、環境の変化に気づけるよう工夫をしましょう。また、最初の下見時よりも川が増水している場合にどうするかも含めて、予め関係者で相談しておきましょう。
絡まる・ひっかかる (41件 ・ 2.0%)
川では船の舫いローブ、釣糸、魚を追い込むためのロープなど、さまざまな紐類が使われています。救助に便利なスローバックもその一つですが、流水での使い方を誤ると、ロープが体に絡まって、抜け出せなくなってしまうこともあります。訓練のときでもスローバックを使うときには、ロープと人が絡まらないよう事前に陸上で練習しましょう。
装備不備(PFD・靴等) (31件 ・ 1.5%)
ライフジャケットは、川での体験活動では必需品ですが、自分の体重に適したものを選ぶとか、体にフィットさせるためにベルトを調節する等、正しい使い方を知らないと、呼吸をしっかり確保できず、パニックになってしまうこともあります。また脱げやすい靴は流されやすく、それを回収しようとして溺れてしまうこともあります。特に子どもにライフジャケットを着けるときには、股下のベルトがあるものを選び、着用後、肩からが上にライフジャケットを持ち上げたときに、ずり上がらないことを事前にまた入水後にも確認しましょう。
胴長 (6件 ・ 0.3%)
水質や生物調査の際に胴長はとても便利ですが、流れのあるところで転ぶととても危険です。胴長の靴部分に空気がたまるために、逆さ吊り状態となって流されるので、息をするのはとても困難です。 胴長を着用する際にはライフジャケットをつけることをお勧めします。